数年前に遡るが東大と京大の両総長が対談で「伸びきったパンツのゴム紐状態の者には入ってきて欲しくない」と言い放った。
それから数年が経ちドラゴン桜が16年ぶりに返り咲いた。「中低所得層」、特に「低所得層」の高校生が自分たちの経済的困窮を東大受験で一点突破するという「成功物語」だ。日本の教育が16年前と何も変わっていないことの証だ。そして、このドラマを2021年4月28日付けの日経新聞朝刊が一面で取り合あげ、もっともらしコメントをしている。
東大、京大、東工大、東北大、阪大、北大、名大、九大などのトップレベルの国立大学だけでなく慶応、早稲田などなどの名門私立大学も、すべからく「中低所得層の人間」が経済的困窮を一点突破するための「手段」なのだ。中低所得層は、これらの大学に入ることが至上命題になっている。そこで、何を勉強するかなど「どうでも良い」ことだ。
日本の富裕層は中低所得層の希望の星を奪ってはならない。近づいてはいけない別世界なのである。
「東大に入れるのは経済的に恵まれた者だ」というマスコミのフェークを信じている人が多いが、実は東大生の親の年収の中央値はたったの「950万円」しかない。中央値が950万円とは人数の50%が950万円未満、残り50%が950万円以上という意味だ。
50歳前後で年収2000万円以上なら高所得層と呼べるかも知れないが年収950万円は中所得層だ。東大生の親の年収が2000万円を超える者の割合は10%に満たないだろう。
東大生の親の年収分布
世帯年収(2018年調査) | 割合 |
---|---|
450万円未満 | 13.2% |
450万円~750万円未満 | 12.5% |
750万円~950万円未満 | 13.5% |
950万円~1050万円未満 | 21.3% |
1050万円~1250万円未満 | 11.2% |
1250万円~1550万円未満 | 12.2% |
1550万円以上 | 16.1% |
下のグラフは主要なアメリカの大学の親の年収の中央値だ。東大をそこに入れて並べると上から2番目になる。一番下がColorado Collegeというリベラルアーツ・カレッジで中央値が何と3040万円だ。
いくつかの大学の親の年収の中央値をピックアップすると以下となる。
UC San Diego 902万円
UCLA 1144万円
Harvard 1848万円
Yale 2112万円
Princeton 2046万円
University of Pennsylvania 2145万円
Brown 2244万円
Gerogetown 2519万円
ハーバードの学生の50%は親の年収が1848万円以上だ。
ちなみにハーバードの親の年収が7000万円以上の学生の割合は実に15%だ。東大は1%あるだろうか?
日本の富裕層が向かうべきはアメリカのトップレベルの「私立」大学だ。世界大学ランキング100位以内か、それが無理なら200位以内の大学だ。