アメリカの名門大学は教員一人当たりの学生数が3~9名だということを再三記事に書いたが、政府が日本の大学全体の、この数値を改善しない限り国は発展途上国化する。だが文科省は言うに及ばず政治家、経団連などの日本の指導者は気がついていない。この点に触れて警鐘を鳴らしているのは恐らく日本では私だけだ。
大学 | 教員一人当たりの学生数 |
文科省データ国立 | 10名 |
文科省データ私立 | 22名 |
慶応 | 5名~53名 |
早稲田 | 30名 |
立教 | 8名 |
上智 | 10名~46名 |
ICU | 20名 |
明治 | 34名 |
法政 | 40名 |
関西大学 | 15名~62名 |
東大、京大、慶応理工学部の教員の質はおそらくアメリカのアイビーリーグ並みか、それ以上だ。何が劣っているか?それは教員一人当たりの学生数だ。東大、京大は文科省データによれば教員一人当たりの学生数は10名だ。慶応理工学部の教員一人当たりの学生数は22名だ。
アメリカの州立大学は何と東大、京大より教員一人当たりの学生数は多いのだ。UCLAは18名、UC-Berkeleyにいたっては20名もある。東大の2倍もある。だから東大、京大、その他旧帝大、東工大あたりはUCLAやUC-Berkeleyなどより「遥かに優れた優良な教育」を提供しているのだ。しかし、慶応は、せいぜいUC-Berkeley並みなのである。UC-Berkeleyは世界トップクラスの大学だと信じて疑わずに、折角東大、京大に入れるのに勘違いでUC-Berkeleyに留学してしまった人が結構いると思うが、それは誤った選択だ。
Penn State | 14 |
University of North Carolina at Chapel Hill | 14 |
University of Michigan Ann Arbor | 15 |
Indiana University Bloomington | 18 |
UCLA | 18 |
University of Illinois Urbana Champaign | 18 |
University of Maryland: College Park | 18 |
University of Texas at Austin | 18 |
Georgia Institute of Technology | 19 |
Ohio State University: Columbus Campus | 19 |
UC-Berkeley | 20 |
UC Davis | 21 |
UC Santa Barbara | 21 |
UC Irvine | 22 |
UC San Diego | 25 |
UC Santa Cruz | 25 |
東大、京大、慶応理工学部を蹴ってでも留学する価値があるアメリカの大学は、あくまで私立大学なのである。それがどういう大学かは下の表の大学だ。私立大学の学費は高い。年間700万円以上かかる。従って
高所得層にしか手が届かない。日本人はLiberal Arts Collegeのことを全く理解していないが赤字の大学は実はHarvard,Yale,Princeton,MIT,Stanofrdといった私立トップ大学と同格なのである。Harvard,Yale,Princeton,MIT,Stanofrdなどの学部レベルの教育を「補完」している大学だ。こういった名門Libera Arts Collegeからはおおぜいの者がHarvard,Yale,Princeton,MIT,Stanofrdの大学院に進学しているのである。
これからは、日本から留学する場合もPh.Dの学位を取得することを念頭に置く必要がある。ITの進化で世界が、そういう時代に変わったのだ。
学部で終わり、という考えでは、おそらくアメリカのトップ大学に行っても「違和感」を覚えるだけだろう。何故なら成績上位の者はGraduate School(Medical School,Law Schoolを含む)への進学を当然だと考えているからだ。リサーチ系大学は言うまでもなく表の赤字のトップレベルのLiberal Arts Collegeでは4年で就職するというのは「脱落者」と見られかねない。
なかなかデータが見つからないがトップレベルのLiberal Arts Collegeの卒業生は30%ほどはGraduate Schoolに進むようだ。就職する者は理系の場合初任給が87500ドル(960万円)は珍しくないようだ。大卒初任給の全米トップはHarvey Muddの学生だそうである。
アメリカでは高収入の職業はPh.Dの学位が必須と言って過言ではない。学費の高い私立大学に何が何でも入ろうとするアメリカ人が多いのは、良い大学院に行きPh.Dを取りたいからだ。PH.Dを取った暁には「元が取れる」と計算しているのである。アメリカ人の富裕層は良い大学院に入るには教員一人当たりの学生数が多い州立の教育では不十分だと分かっているのだ。アメリカ人の富裕層はおおぜいの留学生が押しよせるUniversity of Californiaの様子を見て首を傾げているに違いない。
遠慮せずに言わせていただくが、日本の富裕層は中低所得層の意識に染まってしまっているので、この日本の遅れた教育地獄から抜け出せないでいるのである。
富裕層の高校生は、初任給が400万円程度の貧乏くさい日本企業など相手にしていては救われないではないか。アメリカのトップ大学でPh.Dの学位を取りアメリカ国内でトップに上りつめることを考えてももいいのではないか?
California Institute of Tech | 3 |
MIT | 3 |
Princeton | 5 |
Harvard | 6 |
Williams | 6 |
Yale | 6 |
Amherst | 7 |
Bryn Mawr | 8 |
Claremont McKenna | 8 |
Harvey Mudd | 8 |
Middlebury | 8 |
Pomona | 8 |
Swarthmore | 8 |
Vassar | 8 |
Wellesley | 8 |
Wesleyan | 8 |
Barnard | 9 |
Bowdin | 9 |
Carleton | 9 |
Colgate | 9 |
Davidson | 9 |
Grinnel | 9 |
Hamilton | 9 |
Haverford | 9 |
Mount Holyoke | 9 |
Smith College | 9 |