アメリカの4年制大学の学費は毎年4%ほど上昇し続けるでしょう。現在、私立大学は授業料、寮費(部屋代+食費)は6万6千ドル程度します。いずれ800万を超え、1千万というような額になる・・・・・・。日本にはそれだけの金額を自己負担できる高校生は毎年1万人は存在すると思います。
ところが現在アメリカの4年制大学に在籍している日本人はたった3849人です。推定ですが最初からアメリカの4年制大学に進学しているのは600名程度です。2年制大学からTransferする人数は700名程度です。
従って経済的、能力的に可能な日本人1万人のうちの600人しかアメリカの大学に進学していないということになります。9,400人は、では、なぜアメリカに行こうとしないのか?財団が奨学金を出せばアメリカに行くのか?
学業優秀な富裕層がアメリカの大学に行かない理由は4つ考えられます。
1)アメリカの大学に関心がない。東大、京大、東北大、阪大などの旧帝大、慶応、早稲田で何が悪い?という意識が強い
2)特に医師の家庭はアメリカの大学に関心がない
3)英語能力が決定的に不足している。日本の英語の大学受験勉強はSAT,TOEFLには全く役に立たない。
4)日本企業に就職できなくなるという恐怖感がある
従って、孫財団、柳井財団がいかに声を大にしても、これらの富裕層は動きません。動くとすれば、年収レベルが1千200万前後以下の家庭の中高生です。所謂「日本の中産階級」です。
これらの中高生と親の中にアメリカの大学進学に強い関心を持つ層が、かなり存在している。中産階級の”インテリ層”であり、日本の現状に危機感を持っている。特に理系を目指している層に多く、サイエンス分野は日本の大学は、もうダメだと認識している。
その層がアメリカの大学に応募する場合、自己負担可能な額は、どんなに頑張ってもせいぜい400万円でしょうからアメリカの大学のNeed BasedのFinancial Aidを申請せざるを得ません。そしてNeed BasedのFinancial Aidを必要とする者は「応募時点」で申請しなければなりません。合格してからは応募できない。そして、当然のことながら申請して応募しようものなら日本人が合格する可能性はゼロに近くなる。申請しないで応募すればすんなり合格できる人でも申請したら合格できない。
奨学金出すんだったら、高校3年の10月より前に、そう言ってやんなきゃ意味ないんです。
孫財団、柳井財団の事務局は、そこんところ理解しているんだろうか?孫財団は理解しているようだけど、そうであるなら、高校3年の10月までに、即ちアメリカの大学応募が開始となる10月前に受給者を決定しなきゃならんのです。
いや、それでも遅すぎる。
高校1~2年で受給者を決めなきゃダメです。何故か?そんなこと分かりませんか?英語ですよ、英語。TOEFL iBT100、SATのCritical Readingで700(上位5%以内の成績)を取ろうとしたら、それくらいからアメリカの大学を目指さなきゃならんのです。それでも遅いかもしれない。今の日本の学校の英語の教育では歯が立たない。東大、京大を目指すつもりの高校生に英語を必死で勉強させようとしたら「お金のことは心配いらんから頑張れや」と、高校1,2年の時に言うてやらなきゃならんのです。
ところで孫、柳井財団は奨学金じゃなく、灘、開成といった日本のトップ高にHarvard,Yale,Princeton,Stanford出たアメリカ人の英語、数学、物理、化学、生物の先生を送り込む事業をやるべきです。Oxford、Cambridge、Imperial,UCL出身の先生でもいい。そういう普通の人じゃできないこと「突飛な」ことやってもらえませんかね。
もっと言うなら、アメリカやイギリスのトップランクの大学に入れるようなカリキュラムの高校や中高一貫校を作っていただきたい・・・・・・。その学校では英語は言うに及ばず、全科目を英語で教えるようにする。