総務省によれば2016年時点でセキュリティ分野の人材は13万2千人、先端分野で1万5千人が不足していたが2030年には、それがどんどん増えてセキュリティ分野の人材は19万3千人、先端分野で4万8千人が不足するという。
日本の大学教育でIT分野の人材育成が十分行われてこなかった、あるいはされていない結果だ。こうなるだろうことは今はじめて分かったことではなくおそらく10年以上前から分かっていたはずだ。ところが日本の大学はIT分野の教育の拡充をしなかった。また拡充しようともしていないように見える。何故か?
教員不足かもしれないし、そうではなくて、高度な数学の素養を求められるIT分野を敬遠して安易な文系学部を選ぶ学生側の意識の問題かもしれない。応募者がそれほど多くないので大学も躊躇しているのだろう。おそらく後者の比重が高いだろう。
偏差値の高い大学に入るためにわざわざ理系から文系に志望先を変える者が多かったのだと思う。そういった「文転」をして名門大学の文系学部に入った人を待ち受けているのは、AIの浸透による大量のリストラに直面する運命だ。皮肉なことに高度な業務であればあるほどAIに駆逐される可能性が高い。銀行の融資業務は既にAIにとって替わられているのではないか。その他経営管理、事業計画のような中枢部門が、これからはAIの活躍する分野になるだろうから「エリート社員」こそがリストラされてしまうだろう。官僚の仕事だってAI化されるかもしれない。今後文系エリート社員、官僚は無用という世の中になる。
AIのアルゴリズム、サイバーシキュリティーの分野の技術者になるための教育を、では日本の大学が提供できるのか?できたとしてレベルは十分高いのか?この要望に応えられる大学は、日本には少ないことが明白だ。Times Higher Educationのコンピューターサイエンス分野の大学ランキングによれば、わずか7大学しかない。東大、京大、阪大、名大、東工大、九大、早稲田だ。わずか7大学だけでは不足する人材をまかなうことなど不可能だ。日本の企業は手をこまねていたなら2020年から2030年にかけてIT人材不足が原因で破綻する。しかし、そうかと言って中国人、インド人を雇えばいいというものでもない。日本はアメリカとは違うのだ。国の安全保障と密接な分野に外国人を大量に入り込ませることが、どれほど危険なことか常識でわかるはずだ。
日本の高校生が、偏差値の高い文系学部を目指すために「文転」するような愚かな真似をしていては企業ひいては国が破たんしてしまうかもしれないのである。理系高校生は、この点を十分考慮して進学先を選ぶ必要がある。英米の優秀な大学でITの能力を身に着け、日本で起業する、あるいは日本の企業に就職して日本の発展に貢献するべきである。アメリカのこの分野で上位の大学は以下の通り。
1 Stanford University
2 Massachusetts Institute of Technology
6 California Institute of Technology
6 Carnegie Mellon University
8 Georgia Institute of Technology
11 Harvard University
12 Princeton University
15 Cornell University
17 University of Washington
19 Columbia University
21 University of Illinois at Urbana-Champaign
23 University of Pennsylvania
24 University of California, San Diego
26 University of Texas at Austin
27 University of Wisconsin-Madison
30 University of Southern California
32 University of Maryland, College Park
34 University of Chicago
44 University of California, Santa Barbara
45 University of Massachusetts
48 Brown University
49 University of California, Irvine
52 Rice University
68 Pennsylvania State University
72 University of North Carolina at Chapel Hill