高校生の皆さんが親に向かって「アメリカの大学に行きたい」と言おうものなら「アメリカの大学は落ちこぼれが行くもんだ!何で東大、京大を目指しているお前がアメリカの大学に行かなきゃならんのだ!?」と猛烈な反対の言葉が返ってくるのが普通です。それも、そのはずで、25年前頃はアメリカの大学とはほぼすべてが2年生コミュニティー・カレッジへの進学を意味していたのであり「ちゃんとした4年生大学への入学」ではなかったのです。14年前の2007年ころでさえ、そういう風潮でした。徐々に変わりつつあるとは言え残念ながら今でもアメリカの大学進学と言えばカリフォルニアの2年制コミュニティーカレッジへの入学だと思い込んでいる人が多いようですし、4年制大学にしてもこれといった根拠もなく「アイビーリーグはともかくとして、その他のアメリカの4年制大学は二流以下だ」という思いこんでいる人が非常に多い。
多くの親は「世界大学ランキング」の存在など知らないし、例え知っていても「得体の知れない外国の会社が作ったランキング、そのものが腑に落ちない」と思っている。「何で東大が36位で京大が54位なんだ。世界1位、2位のはずだ。それに名門の慶応、早稲田が600位とか800位とかだそうだが、そんないい加減なランキングを真に受けて二流、三流のアメリカの大学に行こうなんて思うお前はバカじゃないのか!?」となる。例えアメリカに行くことを許しても「どうしても行くならハーバードかイエールだな。それがダメならスタンフォードにでもしておけ」となる。追いうちをかけるように「アメリカの大学なんか出たって日本の会社には入れんだろう。そうなったらお前、どうするつもりだ」と言う。もっともな心配だ。返す言葉が無い。だから99%の高校生は面倒くさくなってアメリカの大学進学は考えないようになる。そして東大、京大目指して塾や予備校に行き、せっせと過去問に取り組むなどの涙ぐましい努力を重ねる。さらに具合の悪い事に、東大、京大に合格できなかった人の多くが国内の「名門私立」大学に進学する。
注意しなければならないのは日本人が大挙してハーバードに応募しても合格できるのは最大で10名程度という点だ。イエール、プリンストン、MITだって同じだ。また、こういった大学に合格する人の多くは「重複合格」するので実際には4大学併せても10人程度しか日本から合格者が出ない。
この4大学に入るのは東大、京大に入るよりも更に困難なので「東大、京大の滑り止め」にはなり得ない。その逆なのだ。「ハーバード、イエール、プリンストン、MITに合格できるかどうか怪しいので滑り止めで東大、京大を受験する」と考えるのが妥当なのだ。残念ながら親の世代は、こういった「現実」を受け入れる気はサラサラ無い。
今の高校生の親の世代や、それ以上の世代は「憲法9条が日本を護っている」と本気で信じている人が多い。腕白少年なら肌で、それは嘘だと知っている。自分を護るのは自分自身の腕力だと知っている。だが、学校の教師は「話せば分かる。だから腕力はいけない」と嘘を教える。腕白少年も、そういう学校教育を12年間も受けて大人になると、すっかりバカになり「憲法9条が日本を護っている」と思い込むようになる。また、そうしなければ「枠からはみ出た人間」として学校や社会で白い目で見られる。アメリカの大学進学を言い出すとこれと似たような状況になる。
ついこの前までは毛沢東語録をかざして「造反有理」と叫んでいた中国人が今や人工知能、量子コンピューター、核融合発電などの先端分野で世界最先端を走っている。どうして、そういうことができたのか?答えは簡単で「アメリカのトップ大学に2007年から2019年までの12年間、大量の中国人を大学生、大学院生として送り込んだ」からだ。恐らく大半が共産党員か親が共産党員だ。
日本人は日本の大学は盤石だとの思いこみがあり、そうはしなかった。気が付けば科学技術で日本は中国の後塵を拝するようになってしまった。繰り返しになるがTimes Higher Educationの世界大学ランキングが正しいとすれば世界に伍する日本の大学は東大と京大だけであり、かっての誇りある「旧帝大」の一角をなした阪大、名大、東北大、北大、九大は世界大学ランキングでは201位以下の「二流大学」に転落してしまったし慶応、早稲田にいたっては「底辺層」の600位や800位とズルズルとランクが下がってきているのである。日本人は教育に関しては明治初期の初心に帰る必要がある。志ある者はアメリカのトップレベル大学を目指せ!