多くの日本人には理解し難いことだと思いますがイギリスには私立の全寮制の小学校が「たくさん」存在しています。通常は8歳から寮生となることができます。さすがにイギリスでも8歳から寮生になることには抵抗があるらしく10歳から寮生になるケースが多いようです。
日本人が、この私立全寮制小学校に入ることが可能です。但し10歳から入学するのは3つの理由で「遅すぎる」のです。一つは前述のように10歳からはイギリス人の希望者が増えるので留学生を受け入れる余裕がなくなるからです。9歳のBoarderの人数は8歳のBoarderの2倍であり10歳のBoarderの人数は8歳のBoarderの3倍です。もう一点は13歳からの名門Senior Schoolへの入学の可否が10歳の時点で決まってしまうからです。最後は「英語能力」です。常識的に理解できると思いますが10歳ともなると言語レベルと学習レベルは8歳よりかなり高くなっています。10歳で応募しても学校が求める英語能力に達していないために不合格となってしまいます。主にこれらの3つの理由で8歳から留学するのが妥当なのです。
もっとも、この年齢ですから日本とイギリスとの行き来は親が同行する必要があります。ガーディアン任せでも不可能ではありませんが、万一を考えると12歳までは親が同行するのが妥当です。
今日の新聞でも日本の学校教育の危機が伝えられています。年を追うごとに危機が深刻になっていることは誰の眼にも明らかです。かっての日本と違い、日本は急速に貧困化が進んでおり、同時に貧富の差が拡大していて「社会の分断化」が進行しているのです。もはや日本の公立小学校、公立中学校は安心して子供を行かせる場ではなくなっています。勇気を奮ってイギリスの私立全寮制小学校への留学を決断することが子供の将来のためです。
海外に留学を決心してもイギリス以外を選択する方々がおおぜいおられますが、英語が世界標準語である点を考慮すると英語圏、なかでも環境面でイギリスが最善です。英語圏でもアメリカはとても小学生が単身で留学できるようなところではないと思います。イギリスの私立小学校はDay School,Boarding School合わせると640ほどあります。生徒数はDayが21万2千人ほど、Boarderが4千5百人ほどです。日本人のBoarderの人数は推定で45人前後です。
イギリスの私立全寮制小学校の年間費用は約3万ポンドです。現在の為替相場は1ポンド150円とかなり円安ですので450万円になります。さらに飛行機代、ガーディアンフィーなどを加えると年間総費用は600万円を超えるでしょう。確かに高額ではありますが、この金額を負担するに値するのがイギリスの私立全寮制小学校です。
日本の「名門」私立小学校の学費はイギリスと比べると格安ですが、それで教育の質が保てるのかと不思議でなりません。また入学審査では騒がしいドタバタが展開されるようですがイギリスでは、そういう馬鹿々々しい光景は見られません。親子の品位とプライドは尊重されます。親の職業をあれこれ詮索することもありません。勿論、詮索する学校もありますが、仮に詮索する場合でもHeadmasterとの面談で「業種」をさらっと聞く程度です。但し、学校が一番心配するのは応募者の財政基盤が盤石か否かですから、合格するには事前にできるだけ情報開示したほうがいいと思います。オックスフォード近郊の学校の中にはロンドン・シティーの金融界で働く親が多い学校もあります。学校の気風は多くの場合「リベラル」です。8歳で入学する場合、入学審査に向けて準備することはせいぜい英語でコミュニケーションできるセンスを身に着けることくらいです。