10年後、20年後、日本社会はデジタル人材と非デジタル人材とに「分断」された社会になっているのは確実だ。そして非デジタル人材の多くはスクラップ化される。労働人口の70%、約4千万人が「文系人材」でほとんどが非デジタル人材だ。スクラップ化が進めば社会は大混乱に陥る。実際、今、起きている現象こそ、その混乱だ。コロナ騒ぎに紛れて文系人材のスクラップ化が進行している。
デジタル人材と非デジタル人材のどちら側の人材になれるかは大学進学で決まる。高校生の皆さんは、今、まさに正念場に立たされているが、国内トップ大学の文系学部に進学してはならない。それは破滅への道だ。
9月28日の日経朝刊が「育てたい女性の理系人材」と言う社説を掲載した。結びで「デジタル分野を中心に優れた人材は企業で奪い合いになっている。産官学あげて、理工系に進む女性を後押ししたい」と書いている。
日本の大学教育の現況はと言えば、STEM分野(科学・技術・工学・数学)に占める女性の割合は
工学系16%(OECD加盟国平均26%)
自然科学系27%(同52%)
という有様でお話にならない。
アメリカ
Percentage of women who earned STEM degrees in 2018
Image may be NSFW.
Clik here to view.
日本国内の大学、それもトップレベル大学にどんどん女性が入学できるのか?と言えば、それは困難だ。いや、女性だけではなく男性にも困難だ。トップ大学の理系学部の定員を殖やさない限り小さなパイを奪い合うだけになる。
ところが、日本の大学は教える側の”STEM分野のPh.Dの学位を持っている教員”が枯渇してしまっているのでトップ大学が理工系学生の定員を増やせない。
そもそも日本の産官学は、理工系人材の育成を本気でやるつもりなどサラサラ無いのだ。日本の産官学の政策立案、遂行を担っているのは、ほとんどが「名門大学の文系学部」出身者だ。彼らには、この課題を解決する見識、能力など備わっていない。だから、産官学が何かやるのをじっとして待っていては手遅れになる。いや、既に手遅れになってしまっている。
抽象論を並べ立てる時期は、もう過ぎている。優秀な理工系人材の絶対数を増やす方法は一つしかない。東大、京大などのトップレベル大学の文系学部志望者がアメリカのトップレベル大学に行き先を変え、アメリカのトップ大学で理系分野を専攻するしかないのである。
だが、繰り返し言う通りアメリカの年間学費は700万円を超えるので特定の所得層の家庭の高校生しか実現できない。それ以外の高校生は指を加えて見ているしかない。これが社会の現実だ。