いままで、随分長いあだブログを書いてきましたが、一番強烈な印象が残っているのは、極めて能力が高く、慶応の(確か)理工学部に合格していながら、アメリカの名もないリベラルアーツカレッジに、私の制止を振り切って飛び込んでいった男性です。この時ばかりは、私の力の無さを痛感しました。その後、その男性は一気に3年でUndrgraduateを終えてしまい、カナダの大学院に進んだと聞いています。アメリカのリベラルアーツカレッジの学費は、ほとんどかかっていないかもしれません。カナダの大学院も同様かもしれません。
わずか6ヶ月でTOEFLiBT100をクリアし、SATも高得点を達成した怪物です。それでもアメリカの「著名な」大学には合格しなかった。原因は、はっきりしています。Need-basedのFinancial Aidを申請して応募したからです。もっともNeed-blindの大学も応募していましたから、100%そうだとは言い切れませんが、Need-Consciousの大学で、彼なら当然合格するはずの大学にも合格できなかったのは、Need-basedのFinancial Aidを申請したからです。
他にも理由があります。担任の先生は協力的であったものの、学校全体が、まったく無関心であり、積極的でなかったことです。才能ある人物を見極める度量、能力に欠けていたと感じます。東大や慶応に何名合格するかしか関心がない。
加えて、その頃から富裕層の中国人が怒涛のごとくアメリカの名門大学に応募し始めていて、Need-Consciosの大学にも殺到していた「社会現象」が彼の行く手を阻んでいました。Need-Consciousの大学は学費を自己負担する中国人、韓国人などの留学生を優先的に入学させていたはずです。
この事例は今でも私の心に「棘」のように突き刺さっています。
皆さんの中には極めて優秀ではあるが、年間600万円も学費が負担できない、だからアメリカには行きたくても行けない、という人がいるでしょう。そういう場合はLiberal Arts Collegeのランキング50~90位あたりの大学にNeed-basedのFinancial Aidを申請して応募すれば合格する可能性は高く、学費の減額措置も受けられると思います。
しかし、慶応、早稲田の理系学部に合格するレベルの人が、そういったアメリカの大学に進学する勇気は、ないでしょう。
なんだかんだ言ったところで、Liberal Arts Collegeのランキング50~90位の学生の学力レベルはTop10%~20%を除くと、たいしたことはないのが実態だと思います。そういう大学に入れば、物足りなくなるのは間違いありません。トップレベルの大学院に進めるかどうかは、その大学の教授が、トップレベルの大学院とパイプがあるかどうかにかかってきますから、そのあたりが確証をもてないなら、入学するのはやめたほうがいいと私は思います。
冒頭の男性は、そういった「常識」を自分の力で打ち破るだけの学力と並外れた意志力を備えていたので、成功したのだと思います。通常の学力、意志力では、とうてい不可能です。
↧
教訓
↧