大多数の高校生は、そもそも「大学教員はPh.D学位を持っていなければならない」という原理・原則を教えられていないので、大学の教員の「質」など調べていないだろう。きらびやかな名前の大学であっても文系学部の教員はPh.Dを取得している割合が低い。じっくり調べたなら、そんな学部、学科に応募する気持ちは失せるはずだ。ある都内の偏差値の高そうな大学の文系学部のある学科の教員10名のうちPh.Dは50%の5名だけだった。残り5名の学位は修士に過ぎない。全米の4年制大学のProfessorのPh.D 保有率は98.3%、Assistant ProfessorののPh.D 保有率は89.5%である。例えば
Stony Brook UniversityはTimes Higher Educationの世界ランキングは301~350位に入っているが、そのホームページで”98%of tenured/tenure track faculty hold doctoral or highest degrees in their fields”と誇り高く告げている。日本の大学も、コソコソしないでStony Brook Universityを見習ってはどうか?
東京にある大学の「国際なになに学部」や「国際なになに学科」あるいは「総合グローバルなになに学部」のきらびやかなネーミングに心奪われる優秀な高校生が後を経たないようだ。なぜ、そこに応募するのか?と聞かれると「学びたいことを学べるから」と、歯の浮くような答えが返ってくる。実は東京に行きたいだけだと顔に書いてあるし言葉の端端に滲み出ている。
大都市のキラキラとしたきらびやかな大学の「国際なになに学部」や「国際なになに学科」あるいは「総合グローバルなになに学部」の教員の何割がPh.Dの学位を持っているか確かめたか?
”己の思い込み”で国際なになに学部や国際なになに学科あるいは総合グローバルなになに学部なんかでチャラチャラと「学びたいことを学んで」も卒業後、食べてはいけない。世間は、もうそんな学部卒の者など必要としていないのである。
今から5年後、10年後の社会が必要としているであろうことを勉強することでこそ身を守ることができるのである。今から5年後、10年後の社会が切実に必要としているであろう人材は数学や統計学に秀でた能力を持っている人材だ。過去20年以上、企業は「TOEICの高スコア」を社員に求めたが、これからは「高レベルのITリタラシー資格テスト」にパスすることを求めるようになる。今の高校生は、どうも、それが分かっていないようだ。鈍感なのだ。