具体的にアメリカのトップレベルの大学の年間学費(授業料+寮費+料の食事代)を見てみましょう。下記の金額以外に教科書代がかかり、日本から留学した場合、さらに航空運賃数十万円がかかります。
California Institute of Technology 675万円
Stanford University 695万円
Massachusetts Institute of Technology 695万円
Harvard University 697万円
Princeton University 662万円
University of Chicago 747万円
Johns Hopkins University 733万円
年収1千万円程度の家庭が何とかなる金額ではないことが明白になると思います。アメリカの大学は、確かにNeed-basedのFinancial Aidという制度があり、学費減額措置をしてもらえますが、しかし、それは米国市民についてであり、留学生は適応外であるか、仮に適用されるとしても「応募時点でNeed-basedのFinancial Aidを申請する」必要があります。そして、Harvard,Yale,Princeton,Dartmouth,MIT,Amherst以外の大学はNeed-Awareと言って、合否判断に際しては「申請しているかしていないかを考慮に入れる」ことになっています。考慮に入れるとは、申請している応募者は不利になる、ということで、合格の可能性はほとんどなくなるのが現実のようです。
年々上り続けるアメリカの大学の学費は4年ごとに100万円アップする勢いですので2026年ころには一千万円に達することでしょう。
「日本人は内向きだから」アメリカの大学留学の人数が減った、などというのは口からでまかせであって、実際は学費がとても負担できるようなレベルじゃないから「経済的に留学できなくなった」のが本当の理由でしょう。そういう事実を文部科学省、経団連の方々はなぜ直視しようとしないのでしょうか?不思議でなりません。
日本の富裕層は、ではなぜアメリカの名門大学に進学しようとしないのか?
最大の原因は「誤った学校の英語教育」だと思います。
高校3年になってもTOEFLiBT100が取れない、SATの英語でスコアが取れない、そのような英語教育を唯々諾々と受け入れている限り如何にお金の力をもってしても壁は打ち破れないのであり、その結果、如何に強く望んでも思うようなアメリカの大学には入れない。そこで、慶応、早稲田といった日本の名門大学に行くことで満足するしかない、ということなのでしょう。日本のグローバル化を本来牽引すべき富裕層の英語レベルが残念ながらさほど高くないことが日本の富裕層の弱点、アキレス腱です。日本の富裕層がこのアキレス腱を克服しない限り日本という国のグローバル化は中国、韓国、インドなどの他のアジア諸国に遅れを取ることは必然だと思います。
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劣悪な英語教育は富裕層の道を閉ざし日本のグローバル化を遅らせる
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