「社会主義国の崩壊によってマルクス・レーニン主義は死滅したが、代わってフランクフルト学派の批判理論が、いつのまにか、現代の体制批判の理論として、大学やジャーナリスムに蔓延している」ということらしいのですが、今まで迂闊にも気がつきませんでした。
フランクフルト学派の主な思想家で第1世代に数えられる
マックス・ホルクハイマー
テオドール・アドルノ
ヴァルター・ベンヤミン
エーリヒ・フロム
ヘルベルト・マルクーゼ
フランツ・レオポルド・ノイマン
フリードリヒ・ポロック
カール・ウィットフォーゲル
レオ・レーヴェンタール
フランツ・ボルケナウ
などのうちヴァルター・ベンヤミン、エーリヒ・フロム、ヘルベルト・マルクーゼについては日本でも有名であり、存在は認識していましたが、
第2世代
ユルゲン・ハーバーマス
アルフレート・シュミット
オスカー・ネークト
第3世代
アクセル・ホネット
アレックス・デミロビッチ
グンツェン・シュミット
ヨッヘン・ヘーリッシュ
ゲールハルト・シュベッポンホイザー
第4世代
ノルベルト・ボルツ
などともなると、聞いたこともない、というのが本音です。
戦後、日本の知識階級はソ連、中国などの「分りやすい」共産主義思想に影響されてきたわけですが、フランクフルト学派、の影響は、より深く、静かに進行しているのであって、官僚、政党、大学、ジャーナリズムにとどまらず「一般人の常識」として社会に浸透している可能性があるようです。一見、進歩的、と見える言説の多くは、このフランクフルト学派の思想に感化されていると見て間違いないのでしょう。第一世代が亡命していたアメリカでは、彼らが撒いた種が大きく成長しています。
今後、日本国憲法の改正をめぐった議論が進む中、私たちは、目に見えにくい「フランクフルト学派」の影響、呪縛からいかに逃げおおせるか、が課題になりそうです。
フランクフルト学派の根底にある「家族、国家、宗教の全否定」と「家族、国家、宗教の肯定」の前面対決の勝敗を決する場が憲法改正の議論であり政治プロセスであるとするなら、これからの10年は日本人にとって正念場と言えるでしょう。
男女共同参画審議会の男女共同参画会議・影響調査会会長だった東大教授、同法の解釈や運用に、強い影響を与えている東京大学教授などは、本人が自覚しているか否かは別として、フランクフルト学派系列の知識人とみていいのでしょう。こういった知識人、官僚、ジャーナリストが一丸となって、彼らの理想とする社会、一種のネオ・コミュニズム社会に向けて日本が漂流した先には、ニヒリズムの暗黒社会が待ち受けているのでしょう。
人工知能の社会的普及が、旧来の思想、社会構造を破壊することと、フランクフルト学派的思想の浸透とで振幅が増幅され、日本だけでなく人類そのものが破滅する、かもしれません。それを阻止できるのは、おそらく日本的価値観に裏打ちされた日本人科学者です。そういう意味からも、日本の大学は質を高める必要があると考えます。
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憲法改正とフランクフルト学派
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